瞬きの星
「あの子が言っていました。もう絶対自分で帰る事ができないのに、その大切な場所が今でもあって、大好きな人がそこで帰れない自分を待っているのを見るのはつらいって。だから、」
「いや!嫌!!」
冷たい空気がひび割れた。
そして涙だけが変わらずに流れ続けて、お母さんは静かに続けた。
「確かに、もうサユリはいないのかもしれない。」
「一緒におフロに入ってあげられないし、どこへも連れて行ってあげられない。でも私は、私はあの子のママなの!いつまでも私はサユリの、可愛くてやさしいサユリの、たった一人のお母さんなの!」
言葉は体を響かせて、やがて跳ね返りながら冷たい壁に染みこんでゆく。
「、、。」
「あの子がいないとダメなの。いやよ、消えちゃいや。」
「お願いだから。お母さんのままでいさせて。あの子の、ために、、」
違うんだよ、お母さん。繋いでいた手が、小さな黄色い帽子が震える。
誰かの為にする事じゃない。
「あのね。生きるって事はね、」
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