瞬きの星
(11)
そして僕は、チェーンを治して。両手を汚して、再び、日常の中に走ってゆくのだ。

大丈夫、未だ憶えている。
目を閉じて、この空に幾つ星があるのかを思い出そうとする。それは上手にゆかないけれど。再び目を開けて見上げた夜空には、さっきよりもたっくさんの星が耀いて見える。

だから、大丈夫、未だ憶えている事を思い返して。
「そうだったね。」

自分の両目で前を見て、自分の両手でハンドルを握って。季節の風が変わっても。どんなに両手が汚れても、何度チェーンが外れて倒れそうになっても。
それでも走ってゆこう。
だって、生きるという事は。
「生きるという事は、自分で決めるという事なのだから。」
(12)
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