瞬きの星
一年くらい前、或る事故が起こった。
それがもう一年も前なのか、正確には、それ以上昔になるのかと思っただけで、それが過ぎてしまった事なのだと感じた。

家と同じ団地に住む、小さな子が一人、突然亡くなった。

その子がお隣さんであった事を、彼女はきっと知らない。
けれど僕でさえ、詳しい事などは知らない。
その日は騒がしいほどに、けれどその後にはあまりにも静かになって。
それが事故かどうかは定かでは無かったし。
ただ、その子が確かに居なくなった事は事実であった。

その日から、ベランダを越えて聞こえてくる幸せそうな笑い声が。はしゃぐ子供と、追う親の声が。ぱたり、と、聞こえなくなったのだから。
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