天空戦記
3

(そんな、そんな・・・)


どのくらい時間が経ったのか、神蘭は信じられない思いで目の前の状況を見ていた。

目の前では傷だらけの父が倒れ、それを無傷の月夜が見下ろしている。


(嘘だ、こんなの・・・)


「さぁ、とどめだ!」

「!!やめて!」


呆然としていたものの聞こえてきた声に駆け出し、割って入る。


「もうやめて!これ以上・・・」

「・・・神蘭、駄目だ・・・逃げろ・・・」


後ろから父の声がしたが、構わず月夜を睨んだ。


「どうして、こんなことを・・・」

「そうだな。最後に教えてやるよ。俺はスパイだったんだ。あの方の為のな」

「あの方?」

「・・・そこまで教える必要はないな。お前達は親子揃って、此処で死ぬんだからな」


言って月夜が剣を振り上げる。


「・・・スパイか。なら、手加減する必要はないな」

「何っ?!」


その時、聞き慣れない声がして、金属音と共に月夜の姿が消える。


「大丈夫?」

「えっ?」


かと思うと、神蘭は一人の女性に顔を覗きこまれていた。
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