天空戦記
そんなことを話した次の日、神蘭が自分の隊に顔を出すと、いつもより人数が少ない気がした。


「あの、何かあったんですか?」


雰囲気もいつもと違う気がして、近くにいた先輩にあたる兵に聞く。


「いや、何悪いことじゃないさ。ただ、最近各地を襲撃している奴等の本拠地がわかったらしくてな。闘神達と其々の隊から何十人かが行くことになったらしい」

「闘神七名を含む七隊が同時に動くなんて、軍の上層部は奴等を完全に潰すつもりらしいな」

「はははっ、敵とはいえ、奴等も気の毒になぁ」


一人がそう言ったのを切っ掛けに次々と笑いが起きる。


(事実上の総攻撃か。闘神が全員動いたなら、月夜ももう……)


封魔一人でも圧倒されていたかつての兄のような存在を思い出し、内心で呟く。

父の仇がとれないのは残念だったが、何処かで自分の手にかけずにすんでホッとする気持ちもあった。
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