双子兄貴の恋愛事情。(仮)
「べつに…サラに言ってもいいよ?…たぶんバレてるしぃ…」
「…え?」
私は思わずヒカレを二度見する。
と、そのとき…壁の陰からヒカレそっくりの顔が現れた。
「ごめっ!待った?」
「おっせーよ」
「や、ヒカレだって来たの今さっきじゃん」
「ごめんねー…ニジ」
やんわりと笑う…もう一人の兄。
ヒカレの双子の弟、水稀(ミズキ)だ。
二人の顔は瓜二つ。
一卵性双生児だから。
でも雰囲気は全然違う…。
「で、話って何?ニジ」
「えっ?…あー…」
ミズキは優しい。
ヒカレの女子に対する優しさとは違う。
誰にでも優しくて、笑顔も優しい。
制服だってちゃんと着こなしている。
爽やかなイメージを周りに持たせる。
とにかく優しいんだ。
でもそれは…弱さでもある…。
「この二ヶ月…二人の恋愛を間近で見てきたんだけどさ…」
私は、恋をしたことはないけれど…。
「ヒカレは間違ってるし、ミズキは素直じゃなさすぎるんだよ!」
二人の恋愛は、見ていてイライラする。