双子兄貴の恋愛事情。(仮)
「ヒカ……名前……言うな…」
ポツポツと言葉を発するミズキ…。
耳が真っ赤になってる…。
「とーみーたーけーまーいーかっ」
もろにミズキをからかうヒカレ…。
「色白で黒髪ストレート…。清楚っぽくて、けっこー人気あんだよね。富竹舞華ちゃん…」
ニヤッと笑い、ヒカレはミズキの顔を覗きこむ。
「やめろ……ホント……ニジいるし…」
ミズキはヒカレに顔を見せまいと、両手で顔を覆った。
「やめてよミズキ…。なんかキモい…」
まるで『恋する乙女』って感じをかもし出すミズキに、私は思わず口を開いてしまった…。
「や…やー……ヒドイ…二人とも…」
ミズキは顔から手を離すと、軽くヒカレと私を睨む。
でも優しいから、睨みきれてない…。
そこがミズキの可愛いところ。
「ダメなんだって!男がそんなんじゃ…。その人…引いちゃうよ!」
私はミズキの目の前にしゃがみこみ、ミズキの目をじっ…と見つめた。
「や…、富竹の前では大丈夫。普通にできてるから…」
「ダメなの!もう三年だよ?卒業だよ?いつ告るのさ?」
「………っ」
ミズキは…たぶん、自分の気持ちを伝えるつもりなんてなかったんだと思う。
でも私の調査したところによれば、その『マイカさん』もミズキのことが好きかもしれなくて…ミズキの気持ちに気づいてるかもしれなくて…ずっと彼氏がいない。
同じクラスの二人は、周りから見ても普通に仲の良い男女で、私が教室を覗いたときも度々仲良く話しているのを見た。
こんなに距離が近いのに、告らないのは…絶対もったいない!
そして無駄にモテちゃうミズキには、変な女に喰われる前に…好きな人と結ばれてほしい!
だから…だから……私の『ミッションA』は、卒業までにミズキとマイカさんを結ぶこと。
いや……クリスマスまでには……!