双子兄貴の恋愛事情。(仮)


「あ、もしー?レイナー?今日?ヒマヒマっ。あ、マジー?いいよー?…うん。したっけー」


そして…『ミッションB』…。

突然かかってきた電話の女と…私の前で平然と会話するこの『腐れ』ことヒカレをなんとかすること…。

「今の…誰なの?」

「んー?…3Aのレイナだよ。放課後カラオケ行こってさー」

「はぁ?最近サラちゃんと全然会ってないじゃん!いいの?!」

「そんなんニジには関係ねーっしょ?」

ヒカレはそう言いながら、誰かとLINEで会話をしている…。


もし…そのレイナって女と二人っきりで会うなら……何するかわからない…。

私の脳内には『浮気』になる行為しか思い浮かばなかった。


「どこのカラオケ?」

「駅前のシャインじゃない?いつもそこだから…」

「…ふーん……シャイン…ね…」



…よし…放課後…尾行しよう…。



今日の作戦を決めた私は、とりあえず教室に戻ることにした。


「じゃっ…そういうことだからっ」


私は駆け足で屋上を後にする。



「え?終わり?」

「結局どーゆーことだよっ!オイッッ」


ガァァァンッと、屋上の鉄柵の震える音が鳴り響く…。


たぶん…ヒカレが蹴ったんだ…。

「ばっかじゃなーい?」

私は二人に聞こえるようにそう言いながら、ダッシュで階段を降り、女子トイレへと隠れる。


少しして、屋上のすぐ下の階…一年生の教室が並ぶ廊下に、ヒカレの怒号が響いた。


「おぉぉらぁぁぁっ!ニジミ出てこいやーっ!」



これも、私のミッションのうち…。

マジギレして豹変したヒカレを、女子たちに見せつけること。

これでヒカレの株は下がり…、少なくとも今この階にいる女子たちは、絶対ヒカレを好きにならない!



「…ねぇ……ニジミちゃん?…お兄さん呼んでるよ?」








< 5 / 8 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop