双子兄貴の恋愛事情。(仮)
「あ、もしー?レイナー?今日?ヒマヒマっ。あ、マジー?いいよー?…うん。したっけー」
そして…『ミッションB』…。
突然かかってきた電話の女と…私の前で平然と会話するこの『腐れ』ことヒカレをなんとかすること…。
「今の…誰なの?」
「んー?…3Aのレイナだよ。放課後カラオケ行こってさー」
「はぁ?最近サラちゃんと全然会ってないじゃん!いいの?!」
「そんなんニジには関係ねーっしょ?」
ヒカレはそう言いながら、誰かとLINEで会話をしている…。
もし…そのレイナって女と二人っきりで会うなら……何するかわからない…。
私の脳内には『浮気』になる行為しか思い浮かばなかった。
「どこのカラオケ?」
「駅前のシャインじゃない?いつもそこだから…」
「…ふーん……シャイン…ね…」
…よし…放課後…尾行しよう…。
今日の作戦を決めた私は、とりあえず教室に戻ることにした。
「じゃっ…そういうことだからっ」
私は駆け足で屋上を後にする。
「え?終わり?」
「結局どーゆーことだよっ!オイッッ」
ガァァァンッと、屋上の鉄柵の震える音が鳴り響く…。
たぶん…ヒカレが蹴ったんだ…。
「ばっかじゃなーい?」
私は二人に聞こえるようにそう言いながら、ダッシュで階段を降り、女子トイレへと隠れる。
少しして、屋上のすぐ下の階…一年生の教室が並ぶ廊下に、ヒカレの怒号が響いた。
「おぉぉらぁぁぁっ!ニジミ出てこいやーっ!」
これも、私のミッションのうち…。
マジギレして豹変したヒカレを、女子たちに見せつけること。
これでヒカレの株は下がり…、少なくとも今この階にいる女子たちは、絶対ヒカレを好きにならない!
「…ねぇ……ニジミちゃん?…お兄さん呼んでるよ?」