双子兄貴の恋愛事情。(仮)
「ニジミ…どこ行ってたん?今さっき兄貴来てたよー」
「知ってる!殴られなかった?!…大丈夫?」
「へっ?ニジミの居場所知らないかって聞かれただけだよ…」
「…そっか…良かった…」
見た感じ、ハリマは普段通りだ。
私は無傷のハリマを見て、ほっとした。
「ってか兄貴いいの?めっちゃ怒ってたけど…」
ハリマは少し、ミズキに似てる。
爽やかで優しくて、まぁまぁカッコ良くて、空気が読めるし、周りへのフォローもすごくできる。
友達が多くて、人気者だ。
「うん…」
なぜか私は、ハリマを見ると目が逸らせない。
「…ん?なに?」
「ハリマ…あのさ…」
「…あっ」
ハリマの目線が私の後ろへと移る。
次の瞬間、私の頭にコツンと固いものが当たった。
「…ニージッ」
後ろから聞こえた…馴染みのある声…。
本当に声まで一緒だから、どちらなのか一瞬じゃわからない…。
「あ、えーっと…ミズキ先輩…のほう?」
ハリマが苦笑いをしながら言った。
「もしかして…ハリマくん?」
『ハリマくん』
その一言に確信した私は、後ろを振り返った。
「へー…家でニジが俺に似てるってよく言うんだけど……そうかな?」
目の前にいるのは間違いなくミズキだ。
「ばっっか…!なに言ってんの?!ミズキ!」
「え?俺とミズキ先輩が?…ないない…ないっす!俺そんなカッコ良くないしっ」
「いやいや、一年の中じゃダントツでしょー。ハリマくん!それだったらウチの親もオッケーするんじゃない?あははは」
はっ?親もオッケー?…意味がわからん。
「ニジを怒りに来たんだけど、ハリマくん見れたからいいやー。じゃー教室戻るわー」
そう言って笑いながら、ミズキは階段へと行ってしまった…。