俺のそばから離れるな‼︎
冗談なのか本気なのかわからない顔で、奏はしばらく私を見下ろしていた。
真剣な眼差しにドキドキが治らない。
なんだか本当に変だよ、私。
今までなら嫌でたまらなかったはずなのに、こんなにもドキドキしてるなんて。
「も、もう、ほら早く退いて!」
「ちっ」
舌打ちしながらも、奏はスッと私の上から退いた。
一気に軽くなる体にホッとしつつも、ドキドキはいつまでも治らなかった。
本当……どうかしてる。
もう余計なことは考えるな。
「じゃあ、おやすみ!」
私は奏を部屋から追い出すと、頭からガバッと布団を被って目を閉じた。