俺のそばから離れるな‼︎
本当にこの人には何を言っても通用しない。
いくら私が否定してみたところでムダだってことは十分承知の上。
「もういいよ。それより10時過ぎちゃったから早く行こ」
「焦るなって。そんなに俺とのデートが楽しみなのか?」
玄関に向かう私の後を、笑顔で追って来る奏。
「外に出れるのが楽しみなだけだよ」
だって、入学してから1回も出てないわけで。
たまには気分転換でもしないと、息が詰まりそうなんだもん。
「とりあえず校門前で待ち合わせな」
奏は玄関に置いた自分のオシャレ靴を持つと、部屋の中に引き返して窓から出て行こうとする。
寮の廊下には監視カメラがあるから、堂々と歩けないってわけ。
見つかったら即退学だからね。