俺のそばから離れるな‼︎


赤くなった顔を隠すようにうつむいて、私は素直に車に乗り込んだ。



座り心地の良いシートに体が深く沈む。



うわー。


こんなに乗り心地の良い車に乗ったのは初めてだよ。


さすが高級車!


すごーい!


広い!


運転席まで距離が遠すぎて、顔が見えないんだけど。


見たこともないような高級な車内に、思わずキョロキョロしてしまう。



すると、隣に奏が乗り込んで来た。



肩がトンッと触れて恥ずかしくなり、奥に体をズラす。



「逃げんなよ」



だけどその直後、不機嫌そうな声とともに奏がすぐに距離を詰めて来た。


車内はかなり広いのに、こんなに密着してたんじゃ意味ないじゃん。



「ちょ、近寄らないでよ」



「ムリ」



はぁ。


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