俺のそばから離れるな‼︎


目の前には、ニヤッと笑う奏のしてやったり顔。


奏の奴……私が照れるってわかっててやるんだ。


なんて根性してんの。



「ほら、さくら。照れんなって」



「て、照れてないっ」



「じゃあどうってことないだろ?口開けろよ」



うっ。


奏め。


ムダに色気だけはあるんだから。



私は観念してしぶしぶ口を開けた。


口車に乗せられるなんて、私も相当のバカ。


私だけじゃなくて、奏も私の扱い方をわかって来たに違いない。



「ははっ、かーわいい」



そんな声と共に口に放り込まれたトマト味のパスタ。



「んぐ……っ」



お、美味しいけど。


『かーわいい』って!



「げほっ」



思わずムセてしまった。


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