俺のそばから離れるな‼︎
「ファンサービスしてあげれば良かったのに。感じ悪すぎだよー」
やっと追い付いた私は、隣に並んで奏の横顔を見上げた。
キリッとした端正な顔立ちに、ドキッと胸が高鳴る。
「俺、もうモデルしてねーし。ファンサービスとか、するだけムダだろ」
興味なさそうに奏が口を開く。
それにしても冷たい言い草。
「なんでモデルやめたの?」
「ん?人気出すぎて面倒になったのと、モテすぎて困ったから」
「……ふーん、あっそ」
聞くんじゃなかった。
なにそれっ。
自慢か!
リア充か!!
嫌味か!!!
「っていうのは冗談で」
いや、本気だったでしょ!?
シラけた目で奏を見やる。
すると、クスッと笑われた。
「頂点になったからやめたんだ」
「え?」
頂点になったから?
「ほら、よく言うだろ?人気ある内にやめるのが一番良いって」
「そ、そうかな?そこが一番の稼ぎ時なんじゃないの?」
頂点になったからやめるなんてもったいないよ。