俺のそばから離れるな‼︎


それに私たちって付き合ってんの……?


よく考えると、言われてないような気がするんだよね。


まぁ、今さらなんだけど。



「優しくするっつってんのに?」



顔を背けて拒否する私を、奏がスネたような瞳で見下ろす。



「そ、それでもダメッ」



「ちっ。本気で俺のことが好きなのかよ?」



「……っ」



この状況で言わせないでよ。


それに、よくそんな恥ずかしいことをサラリと聞けるよね。


すごいというか、奏はいつも直球だ。


自分の中の疑問やモヤモヤを隠すことなく晒して、私にまっすぐぶつけて来る。


欲望に正直というか、やっぱり俺様でワガママなところは健在だし。



相変わらず私は振り回されてばっかり。



それもまぁ、嫌とは思わないんだから成長したよね。


< 218 / 272 >

この作品をシェア

pagetop