俺のそばから離れるな‼︎
「カ、カナ君……!なんでここにいるの?」
奏が現れた途端、猫なで声を出した漆原さん。
さすがの名演技に聞いて呆れる。
すごいな、本当に。
それにしても……バレちゃった。
ど、どうしよう……。
「なんでって、さくらといたいから」
「ふーん。桐山さん、ウソ付いたね」
わずかな隙間から私を睨むその目がすごく怖い。
「そ、それは……だって」
本当のことなんて言えるわけないし。
「あたしを敵に回すと怖いってこと、よーく思い知らせてあげる」
ゾクリとするほど低い声で、漆原さんは言った。
奏には聞こえないほどの小さな声だった。
「カナ君、またね!もうすぐ本当に一緒になれるよ」
クスリと笑ったあと、彼女は意味深な言葉を残して去って行った。