俺のそばから離れるな‼︎


「明日迎えに来るから、それまでに荷物をまとめておくんだぞ。退学の手続きもお願いします」



おじさんは奏と校長先生にそう言い残して、校長室をあとにした。



取り残された私と奏は、呆然と立ち尽くすことしか出来なかった。



「キ、キミたち……そういうわけだから、頑張りなさい。ね?桐山さんが桐生君を連れ込んだ件は、今回はお咎めナシにしておくから」



「は、はぁ……」



校長先生に促され、私たちは校長室をあとにした。


そして校長室を出ると、漆原さんに出会ってしまった。



「だから言ったでしょ?桐山さんが手を出していい相手じゃないって。身分の差を思い知った?」



フフンと鼻を鳴らしながら、勝ち誇ったような笑みを浮かべる漆原さん。



「お前、マジでいい加減にしろよ。地球がひっくり返っても、お前と一緒になることは絶対にないから」



奏は漆原さんを冷たく一瞥すると、私の手を引いて歩き出した。



ケイや秋道君や本間君が、心配そうに私たちを見守ってくれている。



だけど奏はひとことも話さず、部屋に戻ってからもじっと何かを考え込んでいるようだった。


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