俺のそばから離れるな‼︎
『簡単に諦めんなよ』
いつまでも、その言葉が頭から離れなかった。
「奏の夢は?」
下の名前で呼ぶのは本当は嫌だけど、仕方なく呼んでみた。
すると、スマホを見ていた奏がパッと顔を上げて嬉しそうに笑う。
うっ。
名前くらいで、そんなに嬉しそうにしないでよ。
なんだか、奴には調子を狂わされてばっかり。
夢だって……話すつもりはなかったのに。
「俺の夢は……命の恩人に立派になった姿を見せること、だな」
「い、命の恩人……?」
なにそれ。
死にそうなほど危険な目に遭ったことがあるっていうの?
ケンカで……ってことかな。
奴ならあり得る。
「ああ。その人のことを、すっげえ尊敬してんだ」
「へ、へえ」
トップって呼ばれて恐れられてるくらいだし、昔からケンカばっかしてたとか?