俺のそばから離れるな‼︎
ーーガチャ
隣の部屋のドアが開く音にハッとして、慌てて涙を拭った。
こんな姿、奏にだけは絶対に見られたくない。
引き出しをそっと閉じ、机の上の教科書に手を伸ばした。
「なにシケたツラしてんだよ?」
「別に……してないよ」
目を合わせずに淡々と言い返す。
「さくらはいつも、んな顔ばっかしてる」
「奏には……関係ないじゃん」
だって、こんなところに来るはずじゃなかったもん。
とは言えなかった。
なんでだろう。
図書室でのことがあったからかな。
『諦めるなよ』
その言葉が頭から離れない。