深愛なる君へ、この愛を捧げます。




理人のところへ近付くと、ピッピッピ…と規則的な機械音が聞こえてきた。




視線をゆっくりと理人へ上げると、理人はいつものように酸素マスクをして眠っていた。




「一時心拍・血圧ともに低下していましたが、今は持ち直しています。
これでしばらくは大丈夫だと思いますので」




看護師さんは酸素量や点滴、理人の指についている機械を一通り確認して病室を後にした。




看護師さんが病室の戸を閉めた瞬間、緊張の糸が切れたように、丁度後ろにあった椅子に座った。




するとすぐに病室に担当医が入ってきた。




「少し、お話よろしいですか?」













私とお義母さん、お義父さんの3人は医者に呼ばれ説明室と書かれた部屋に入った。




私達が座ったのを確認すると、医者は先程の理人の担当看護師さんを入れて部屋の戸を閉め、自分達も座った。




「…今回のように心拍・血圧が徐々に低下していくことは理人さんが意識不明になってから初めてのことでした。そうだね?」


「はい。何日かに一度は低下することはありましたが、それはほんの一時的で、今回の長時間の低下は初めてです」




医者に振られた看護師さんは、いつもの様子を細かく説明してくれた。




「徐々に低下したのが今回初めてでしたが、これはまたいつ起こるか分かりません。
今回は持ち直しましたが、今度起こった時も持ち直すとは限りません。
持ち直す確率よりも、徐々に低下して0になる確率の方が高いです。


目が覚める可能性も、これだけ経っても覚めないとなると覚めることなくそのまま…という可能性が大きいです。
家族の皆さんに残酷なことを言ってるとは思いますが、このことを理解しておいて下さい」




< 25 / 60 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop