深愛なる君へ、この愛を捧げます。




帰りにそのまま日海のお迎えに行って、帰ってきても医者の言った言葉が頭の中を無限ループしていた。




日海はお義父さんとテレビを見ているなか、私は夕飯の支度をしていた。




理人はいつ目が覚めるか分からない。
それどころか目が覚めずに…って可能性の方が高い。




それはつまり、理人がいつ死んでもおかしくないということ。




前にお義母さんが言ったことが、現実味を帯びてきた。




「…アンタ、手が止まってるよ」


「あ、…お義母さん。すみません」




考えていたらいつの間にかかき混ぜている手が止まっていた。
それを見たお義母さんは大きなため息をついて、私がやっていた作業を横取りした。




「夕飯はアタシがやるからアンタは二人とテレビでも見てな。
ここに立てれても邪魔だよ」


「す、すみません。お願いします…」




私は手を軽く洗ってお義母さんの横を通り過ぎて、日海とお義父さんのいるところへ行った。




「…出て行くならいつでもいいからね。アタシと旦那は止めやしないから」




すれ違った時に小声で言われた。
お義母さんは『ここにいないで、私達を受け入れてくれる男性(ひと)のところに嫁ぎな』とこの前言ったことを言いたいんだ。




どうすることが正しいのか分からないまま、日海とお義父さんのところへ向かう。




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