深愛なる君へ、この愛を捧げます。
あの着ぐるみを着て、私は理人と出会った。
いや、正確には再会したの方が正しい。
理人とは中学が一緒で、2、3年の時はクラスも一緒だった。
でも理人とはほとんど関わったことがなかった。
理人はいつもクラスの中心にいるような人で、明るく、誰からも好かれていた。
そんな人と関わるのが苦手な私は、理人を自然と避けるように地味にひっそりと中学時代を過ごした。
唯一理人と関わったのは、中3のクラスマッチの時に保健委員で救急箱を持ちながら校内を巡回していた時のことだった。
理人が1人日陰で休んでいるのを見かけた。
膝に怪我をしていたから、話しかけたくなかったけど仕方なく声をかけて簡単に治療した。
救急箱を開くとガーゼが丁度終わってて、私は自分のハンカチを出してそこに消毒液をつけて理人の膝にあてた。
『え、いいよ!そこまでしなくても!申し訳ないし…!』
「怪我人をほっとくのは、保健委員としてよくないから気にしないで。
それにハンカチくらいまた買えばいいし。これ返さなくていいから、家帰ったら捨てて」
今思えばあの言い方はすごく冷たかったなと思う。
それくらいに理人のような人は苦手だった。
中学時代の理人とはこれ以外話すことも関わることもなかった。