深愛なる君へ、この愛を捧げます。
帰りの車の中で、日海はさっき話そうとしていたことを結局は私に話してしまった。
この話はまたパパにもするんだろうな、と思いながらも日海の話はしっかりと聞いた。
あとは今日歌った歌をうろ覚えだけど一緒に歌っていると、目的地に到着した。
着いたのは家ではなくて、総合病院。
車を駐車場に停めて、正面玄関は開いてないから裏の職員専用の出入り口から入る。
私達は特別に夜ここから病院内に入ることを許可されている。
専用の面会者のネームを首から下げ、日海のも日海に渡す。
緊急外来の看護師さんに挨拶をして、エレベーターに乗る。
日海と手を繋いでエレベーターを降り、最初にナースステーションに顔を出す。
忙しそうにしている看護師さんを覗くように見ていると、一人の看護師さんが私達に気付いてこちらにやってきた。
「こんばんは。今日も状態は落ち着いていましたよ。お部屋が207号室に変更になりましたのでそちらに行ってください」
「…そうですか。分かりました」
看護師さんが日海と目線を合わせ「日海ちゃん毎日来て偉いね」と日海と話している中、私は今日も何事もなかったことにホッと安心していた。
看護師さんと日海の話が終わると、また日海と手を繋いで206号室へと向かう。
病室の戸をゆっくり開けると、直ぐにピッピッという規則正しい機械音が聞こえてきた。