深愛なる君へ、この愛を捧げます。




それからしばらく話せなかった4年分の出来事を簡潔に理人に話した。
とは言ってもほとんど日海のことだったけど。




理人は自分に寄りかかる私に優しく触れながら聞いてくれていた。




「…芽々には4年も苦労させたな。
なんてお詫びを言ったらいいのか、言ったとしても言いきれない…」




理人は眉間にシワを寄せて、申し訳なさそうに微笑んだ。




理人、私はね?




「私は理人のそんな顔が見たくて待ってたんじゃないよ?
理人と日海と三人で幸せになりたくて、幸せにして欲しくてずっと待ってたんだからね?


だからお詫びを言う前にまずは体を動かして、以前の理人に元気な理人になってよ。
そしてたくさん日海をかまってやって。罪滅ぼしはそれで十分」


「罪滅ぼしって…お前なー」




理人は苦笑いしていたけど、やがてプッと吹き出して笑った。
私も理人の笑顔に釣られるように笑った。




ふと時計を見ると、もうすぐ日海が起きて保育園に行く準備をする時間だった。
もう少し余韻に浸っていたかったけど、日海をお母さんに任せっきりだと申し訳ないし。




「理人、私そろそろ帰るね。
日海を保育園に送っていかないといけないから。また夜にくるよ」




理人に微笑み、私は乱れた髪を簡単に整えて鞄を持った。




「…芽々」


「…ん?なに?」




理人に呼ばれ振り返ると、理人は少し頬を赤くして私を見つめていた。




「ねぇ、今すごくキスしたいんだけど」




……………。




しばらく言葉が出なかったけど、やがてプッと吹き出してしまった。
何年眠っていても、理人は理人だった。




何一つ変わらない、私の愛しい人。




「…はいはい」




私は理人のベッドに近付き、ベッドに手をつけて目を閉じた。




しばらくして理人の唇が私のに重なった。




4年振りのキスは付き合いたての頃にしたような、初々しいキスで、なんだか変な気持ちになった。




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