空の色
空の色
「あ、合田くん…?」
彼は押し黙ったまま、抱きしめる手を緩める事はなかった。
「ねぇ…合田く…」
「なんで来るの?なんでここだってわかったの?」
その体勢のまま話し始めた。
「潤が気付いてたの。合田くんがいたこと。そして変なタイミングで逃げたこと。」
「もしかしてあの後…」
「お断りしました。」
きっと彼は今ばつが悪そうな顔をしているのだろう。
「…なんでここだって…」
「空を見てると思ったから…。屋上以外で、空が綺麗に見えるのってここだけだから。」
言い終えると、抱きしめる力がより一層強まる。
「俺がお前の光になりたい。」
「え…」
急に言われた言葉に、私は少し戸惑う。
「ずっと…好きでした。俺と…付き合って下さい。」
顔は見えない。
けれど彼の鼓動が速くなっている事に気がついた。