私の好きな人は、ヒーローでした。
「……」

俺には、一生わかんねぇ体験だ。

「こんなに洗っても……アイツらは、消えてくれない……っ」


「大沼。お前は、どうしたら、楽になる?」


「え、」

「アイツらを、殴ればいいのか?退学にさせればいいのか?…殺せばいいのか?」

「私は、ただ……っ」

「……ただ?」

「……わかんない……わかんないよ…っ」

「……ごめんな」

そして、優しく、抱きしめた。

「安心したい……」

「ん。」


こんな目に合わせたのは、俺だ。
蹴りつけなきゃな。
もう、絶望させたくない。
いや、しなくていいんだ。

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