私の好きな人は、ヒーローでした。
「……大沼。」

「……だめなの。
自分に嘘をつかなきゃいけないの。」

「……なんで?」

「……あは、ちょっと、しゃべりすぎたかな?」

そう笑う大沼。

「大沼……」

「あーぁ、やめてよ…そんな辛そうに言わないでよ。ほんと、大丈夫だよ…」

「大沼……。俺さ……彼女が、二年前かな。自殺……したんだ。」

「え……」

「なんでだと思う?」
俺をじっと見る大沼。

「わ、かんない」


「……レイプ。されたんだよ……」


「……っ」

口を手で隠す大沼。
ショックだったのだろうか。

「……俺さ、何言っていいかわかんなくて……何も出来なかった。」


『大丈夫……か?美來……』


『…ごめん。大丈夫……だけど、
帰って?』
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