私の好きな人は、ヒーローでした。
でも、どれだけあがいても、……逃げたんだよ。その事実に変わりわない。」

「……っ」

それは、正論だった。
だから、何も言い返すことなんて……できなかったんだ。

「なんてね……私は……っ」

「……」

「自分だけが被害者みたいに思ってた。
拓海も……いや、拓海は、もっと……つらかったはずなのに……っ」

触れてもいい?
その、大沼の過去に。
< 39 / 48 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop