ブルー時々、蒼。

突然席を立ったわたしを咎めるお母さんの声が聞こえたけれど、構わずにサンダルに爪先を引っ掛けた。

向かうは、松田冷菓店。通称、松キャン。

高校の野球部の部室の前を通ると、本来真っ白だったはずの、土色に染まったユニフォームを着た部員たちが、ぞろぞろとグラウンドに向かっていた。
その姿を横目で見て、信号のない交差点を渡ったとき。


「蒼大んちのアイスさ、種類少なくない?」


女の子の声。
視界にはっきりと捉えられる距離まで近付いて、わたしは足を止めた。電信柱の陰に、身を翻す。


「瑠璃、文句あんなら食わなくていい」
「文句なんてないですこのピンク色すっごく美味しいです!」
「…調子いい奴」


高校の制服を着てるから、蒼ちゃんの同級生、だよね。軒下で話す姿は、まるで、戯れ合う恋人同士のようで。


「ただ、他にももっと種類があった方が選び甲斐があるかなー、なんて」


わたしは白がすきだよ、蒼ちゃん。昔から、白一筋。浮気なんかしない。他の色なんて、無くてもいいの。

でもね。
もしも、青があったのなら。


「、純……?」
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