あのね、先生。-番外編-

そもそも、可愛い女だったらこうなる前に嫉妬したんだと素直に言えただろう。

それが出来ない辺り、やっぱりあたしはちょっとひねくれてるかもしれない。

「んふふ、可愛いなぁ」

蓮くんのそんな言葉にまた顔が赤くなるのを感じたけど、それよりも、手首を引かれて抱きしめられたことに驚いた。


「…全然可愛くない」

「可愛いよ、誰よりも」

蓮くんってとことんあたしには甘い。

「俺ね、今日すげー楽しみだったよ」

甘い上に、素直に言葉を口にする。

きっと、あたしだったら照れて言えないようなことも、蓮くんは何でもないみたいにサラッと言っちゃう。


「楽しみすぎて、学校にいる間も顔に出ちゃってたみたいなんだ」

「え?」

「生徒にね、この後彼女と会うんでしょって言われて。あのお菓子も、彼女と一緒に食べてって渡されたんだ」

彼女と、一緒に食べて?

…ってことは、あたしと?
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