あのね、先生。-番外編-

それをこの子はどうってことないって顔で済ませるから怖い。

いつも大丈夫だっていうけど、大丈夫なわけないんだよ。痕が残るってこと自体、ダメなんだから。

「うん。そんなに痛くないし、多分2、3日もすれば普通に歩けると思う」

「そ、よかった」

「んふふ、蓮くんが今日1日お姫様みたいに扱ってくれたからすごく楽だったよ。ありがとう」

そんなにふにゃふにゃ笑って。

眠たい時と酔ってる時の茉央ちゃんは、いつにも増して甘ったるい。

それを見るのが俺だけなら、こんなに可愛いことはないけど。


「そういえば、中村さんと吉野先生どうなったんだろうね」

俺の肩にポンと頭を乗せて、上機嫌に話す茉央ちゃん。

多分いい方向に転がったってことは何となく察してるんだろう。

自分のことみたいに喜んでる姿を見ると、仮にも前に嫌な目に合わされた相手のことを考えてるとは思えない。

女の子って、許してるつもりでもそういうのずっと気にしてるんだろうなって思ってたけど、違うらしい。
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