あのね、先生。-番外編-
「多分ね、落ち着くから好きなんだと思う、蓮くんの笑い方」
落ち着くなんて、結構嬉しい褒め言葉なんじゃない?
茉央ちゃんにとって落ち着ける場所であるなら、俺はいつまででも変わらずそうであり続けたいから。
「嫌なことがあってもね、蓮くんの笑顔見たらそんなの飛んでいっちゃうの」
「んふふ、俺すごいね」
目を閉じたまま笑う茉央ちゃんは、きっとまた今話してることなんて明日の朝にはほとんど覚えてないんだろうな。
「ずっと、一緒にいたいね」
なんて、小さな声が聞こえて。
「ん、そうだね」
きっと俺の返事はもう届いてなくて。
眠りについてしまった彼女を、ギュッと抱きしめた。
彼女にとって俺が落ち着ける場所であるように、俺にとってもそれは同じだから。
だから、離れる理由なんてないね。
これからもずっと隣で、俺に似た笑顔で笑ってくれればいい。
俺の好きな笑顔で。
-END-