あのね、先生。-番外編-
「俺にチョコないんでしょ?」
「それは…」
「代わり貰わなきゃね」
勘違いして意地を張って、咄嗟に口から出てしまっただけ。
ほんとは用意してるんだから。
…なんてことか、今の蓮くんに通用するわけもなくて。あっという間にベッドの上に乗せられた。
「抱いてもいい?」
そんなどストレートな言葉で、そんな甘ったるい笑顔で、聞かないで。
あたしの言葉なんて聞く前に、蓮くんはもう一度強引に口付けた。
今度は息もままならないような、激しくて甘いものだった。それはあたしを堕とすには十分で。
「んふふ、いいみたいだね」
ご飯を作る途中だったことも、バレンタインデーだってことも、頭の中から消えてしまった。
蓮くんの首に腕を回してしまうくらい、完全に堕とされてしまったんだから仕方がないよね。