あのね、先生。-番外編-
クリスマスだからか、人がすごく多くて。
走りながらじゃ見つけらんないな、なんて思って、キョロキョロしながら歩く。
屋根がない場所には…いない。
よかった、ちゃんと屋根がある場所にいてくれてるってことだ。
駅前にはカップルが大勢いて、その他にも若い子達の集団もいたりして、何となく目を反らした。
見知った顔があったら面倒だ。
うちの生徒がいませんように、なんて思いながら茉央ちゃんの姿を探してると、ポケットの中で携帯がなった。
画面には【茉央ちゃん】の文字。
「もしもし、ごめんね遅くなって」
もしかして怒ってるかな、なんて思ったけど、電話の向こうから柔らかい笑い声が聞こえて安心する。
『んふふ、おつかれさま』
「どの辺にいる?」
『蓮くん、そのまま後ろ向いて』
「後ろ?」
言われるがまま後ろを向いて、茉央ちゃんの姿を探す。
『グレーのコート』