あのね、先生。-番外編-

生徒の間から見える茉央ちゃんの顔がすごく困惑してて。

「はい、おしまい」

少し強引に生徒の間を割って元の位置に戻った。

「えーっ、いいじゃん!俺らもっと彼女さんと話したい!」

「だーめ、もう見せない」

可愛いって声はもちろん聞こえたし、ここにいるのは相手がいないのばっかだってことも分かってる。

そんな中に茉央ちゃんをはいどうぞ、って出せるわけないでしょ。


「あたしたち蓮くんの彼女すごいブスなんじゃないかって思ってたの」

「え?」

「蓮くん見せてって言っても絶対見せてくれなかったし、もしかして見せるの嫌なくらい可愛くないのかなって」

サラッと言うね、すごいこと。

「でも逆だね」

「逆って?」

「可愛すぎて、誰にも見せたくないっていうの分かるよね」

「うん、すごい可愛い」

やっぱり男子より女子の方が鋭いなって思った。ほんとにその通りだから。

< 152 / 237 >

この作品をシェア

pagetop