あのね、先生。-番外編-
「だって、一番大事だもん」
自分のことよりも、茉央ちゃんのことを一番に考えるようになった時点で、もう離れられないって分かってた。
それがいいと思った。
「じゃ、俺らこれからデートだから。あんまり夜遅くまで出歩くなよー?」
キャーキャー騒ぐ生徒達をなだめてそう言うと、蓮くんこそ!なんて言われた。
「急に先生っぽく言ってもダメだよ!」
「んふふ、俺先生だもん」
「あー、こういうときだけ」
「いいの。一応俺言ったからね、補導されても知らねーぞ」
一応って何だよ!ってまた騒ぎ出した生徒の間を通って、茉央ちゃんと一緒にその人だかりを抜ける。
やっぱり多い。何人でクリスマスパーティーするつもりなんだろ。
「今日だけ許すけど、冬休みだからってハメ外しすぎないように!」
振り返ってそう言うと、今度ははーい!なんて素直な返事が返ってきて、俺と茉央ちゃんに手を振った。
中村先生が言ってた通り、この辺生徒がうろついてるんだな。
今まで茉央ちゃんのこと見せないように頑なに守ってきたのに、多分冬休み明けにはまた違う噂が広まるんだよね。