あのね、先生。-番外編-
「…だって、チョコの代わりって」
チョコの代わりなんていうから、あたしのチョコはもういらないのかな、なんて思ったんだけど。
家で作ってきたガトーショコラは、ちゃんと冷蔵庫の中に入ってる。
「んふふ、どっちもくれるなら、俺はそれが一番嬉しいけど?」
蓮くんはあたしがそれを断らないって分かってるから、こんなことを言ってくるんだよね。
まったく、敵わない。
「ほらこれ、俺のでしょ?」
冷蔵庫を開けてすぐに見える白い箱を指差して、嬉しそうに笑った蓮くん。
お菓子作りなんて滅多にしないのに、昨日作り方を検索して頑張って作ったんだから。それを蓮くん以外にあげるなんてことをあたしがするはずがない。
「くれる?」
「…あたしが食べちゃおっかな」
少しの意地悪くらい、いいでしょ?
蓮くんだってしたんだから。