あのね、先生。-番外編-
「持ってかれちゃったら困るから?」
「…んふふ、何それ」
何を思ってるのかわからないけど、少なくとも悪くは思ってないみたい。
どっちかって言ったら、笑いを堪えきれないっていうか、少し嬉しそうにふにゃんと笑ってる?
「誰が持ってくの?」
「んー、茉央ちゃん可愛いから敵なんていっぱいいるんだよ」
例えばさっき来た俺より歳が近い高校生とか、考えれば出会いなんていくらでもあるわけで。
「そんなのあたしだって一緒だよ」
茉央ちゃんがキュッと手を握り直すから、俺もまた強く握り直す。
「蓮くんなんて、休み以外は毎日生徒に会うでしょ?」
「生徒?」
生徒に会うからって、どうにかなるもんでもないのにどういうことだろう。
「蓮くん、忘れたの?」