あのね、先生。-番外編-

｢あのときはあたしも生徒だったんだから、生徒だなんて関係ないってこと｣

確かに俺が茉央ちゃんのことを好きになったのは彼女がまだ高校生のときで、俺の生徒だった時だ。

｢んふふ、あー、そういうことね｣

普段はこんなこと言わないのに、今日はえらく素直だね。


｢でも俺も前に言ったの覚えてない？｣

｢なに？｣

｢俺、茉央ちゃん以外いらないって｣

大事だってことはきっと、何度言ったって不安になる時はなるんだろう。

だけどそれなら、その度に俺は何度でも繰り返し言ってあげるから。


｢大丈夫だよ。これから先のことだって、茉央ちゃんとじゃなきゃ想像出来ないくらいにはなっちゃってるから｣

あの時、教師って仕事よりも君のことを選びたかった、なんて口で言うのは簡単で、もし伝わらなかったら嫌だから言わないけど。

何よりも大事だってことは、これからちゃんと伝えるから。


｢んふふ、溺愛されてるんだね、あたし｣

｢してるよ、ずっと前から｣

-END-