あのね、先生。-番外編-
「えー、くれないの?」
なんて言って蓮くんは冷蔵庫を閉めて、あたしの隣に立って覗き込んでくる。
隙間なくピッタリくっついてきて、何なら少しだけ重心をあたしに傾けてる。
「んー、蓮くん重たい」
「んふふ、邪魔?」
「邪魔…じゃないけど」
蓮くんはこうしてくっつくのが好きなのかもしれない。
だけど、ずっとそうってわけじゃなくて。たまに絵描いてたり、興味があるテレビ見てる時とかは、それに一点集中してあたしには眼もくれない。
かと思えば、自分のタイミングでそれを終わらせてこうしてくっついてきたりするんだから。
その行動を見てると、やっぱりとてもじゃないけど年が7つも離れてるとは思えないんだよね。
「出会って初めてだよね、バレンタインに一緒にいるの」
「そうだね。去年は俺仕事してたの覚えてるわ」