あのね、先生。-番外編-

「んー、わっかんねぇなー」

何が分からないのか、あたしにも分からない。

いったい何を見てたんだろう。

自分の手とあたしの手を交互に見てうなってる蓮くん。そのうち諦めたのか、パッと顔を上げた。


「もういいの?」

「うん、大体分かった気がする」

「…何が?」

「んふふ、だから教えないよ」

どうしても教える気はないらしい。

きっと蓮くんのことだから、あたしが何度聞いたって上手くはぐらかすんだろうな。

珍しいな、蓮くんがこんなに頑なに隠すなんて。普段は一度聞いたら大体教えてくれるのに。


「茉央ちゃん、次いつ休み?」

急に話が変わって、あれ、なんて思ったけど、蓮くんはそんなこと気にする様子も見せずにいつもみたいにふにゃんと笑ってる。

だから、まあいいかって思って。

「次はね…来週の土曜日かな」

「お、やった。俺も」

「久しぶりだね、一緒に休みなの」


前一緒に休みだったときは、あたしが女の子の日で正直2人でまったりなんて出来るほどの余裕はなかった。

1か月ちょっと前のホワイトデーに出かけたっきり、ちゃんとしたデートなんてしてなかったよね、そういえば。
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