あのね、先生。-番外編-

こうして仕事終わりに会いに来るのは、もちろん会いたいからなんだけど、一緒にいるほうが落ち着くからっていうのが一番だった。

高校教師にとって今は新学期を迎えて、やっと新入生がなれてきたかな、くらいの時期で、ようやく忙しいのが収まったようだった。

そんなことを言っていたらもうすぐゴールデンウィークがくるし、どこか旅行行こうか、なんて相談してる時期でもあった。

やっと収まった忙しさとはいえ、高校教師が土曜日に学校に行かなくてもいいって珍しいことだと思う。なんてったって蓮くんは顧問もやってるし。


「ん、久しぶり」

嬉しそうに笑った蓮くんは、さっきまで見ていたあたしの手をキュッと繋いだ。

「どこか行きたいとこある?」

「行きたいとこ…」

当分外でデートなんてしてないけど、いざ聞かれると行きたいとこなんてすぐには思い浮かばない。

あたしがすごく考えてるから、蓮くんはおかしそうに笑ってる。


「俺は家でもいいけど」

「あたしの家?それともここ?」

ほとんど毎日蓮くんの家に来てるから、もう半同棲状態だけど、たまにはあたしの家にも行きたいんだって前に言ってた。

「んー、茉央ちゃんのいえがいい」

「んふふ、ほんとに久しぶりだね」

「ほとんどこっちだもんなー」

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