あのね、先生。-番外編-
本当にこの人は、いつまで経っても若いままな気がする。だって高校に来た時からそんなに変わってないよ。
さすがに大学生みたいな雰囲気はなくなったけどね。
それにしたって、もうすぐ30になるような人には見えない。
やっぱり好きなことを仕事にしてるからなのかな。
大変そうだけど蓮くんは、何だかんだ言って教師って職業がすきなんだよね、きっと。
「3年目の記念日はさ、ちゃんとしようね」
「3年目?」
「うん、3年って節目って言うじゃん」
3年目の記念日は、5か月後だ。
「そっかぁ、そうだね。約束、3年目の記念日は絶対ちゃんとお祝いしようね」
記念日は特別視してないけど、約束を忘れることはあんまりない。
だからかな。
記念日を一緒に祝わなくても、どうでもいいと思ってるわけじゃないんだろうなって。それが分かるからいいの。
「土曜日、家でゆっくりしようか」
「うん、そうだね」
こうして緩く話してるのがいつも通りで、すごく落ち着くし幸せだった。
その日は蓮くんの「泊まっていけば」なんて言葉に甘えて、蓮くんの家から出勤した。