あのね、先生。-番外編-
「冷たくないですよ、ほんとは優しいって分かってます。でも、きっとあたしの方が好きなんだろうなって思ってたから」
「はは、何すかそれ」
俺が不器用でめんどくさがりで、あんたの分かりやすいアプローチもずっとスルーしてたこと知ってんじゃん。
「バカなんすか?」
「…バカって、ひどい」
「俺は好きじゃない人と付き合うほどお人よしじゃないし、そんな面倒なこと絶対しねーわ。そんな信用ないと思ってなかったんだけど」
好きじゃなかったらこんな風に泣きそうになってるの見て、どうすればいいかなんて考えたりしねーよ。
「…何なんですか、今日素直で涙でそうなんですけど」
「出てんじゃん」
「ギリギリセーフです」
どこに行こうかなんて、そんなにきちんと考えてたわけじゃないからもういいか。なんて思って、方向転換して俺の家に向かう。
「腹減ったんで、何か作ってください」
「いいんですか?半年なのにあたしの手料理で」
「レストランのフルコースが食べたいって言うなら行きますけど?」
「…いいです、そんなの」
知ってるよ。そんなの聞かなくたって。
そういうと思ったからもう俺の家に勝手に向かってたんだって。