あのね、先生。-番外編-


仕事が終わる時間が合えばご飯を作ってもらって食べることもある。

でもそれは大抵俺の家よりも学校から近い吉野先生の家で。

ここに吉野先生が入るのはほんとに久しぶりだった。

「何か、こうしてご飯一緒に食べるのも久しぶりですよね」

「そうっすね」

新学期が始まれば忙しくなるのは分かってたけど、そういえば疲れて吉野先生の家に行くこともなかった。


ゴールデンウィークが終わって忙しさはだいぶ落ち着いたから、これからまた行けばいいか、なんて思っていた。

「そうだ、言わなきゃって思ってたんですけど」

最近はたまに泊まることもあったし。

多分そういう機会はこれから増えんだろうなって。

「引っ越そうと思って」

「は?」


なのに何だよ。

急に引っ越すって何事だよ。

「何でまた」

「いや、そんなに大事じゃないんですけどね、ちょっと…」

言いづらそうにためらって、口を開く。

こんな中途半端な時期に引っ越すってんだから、多分ちゃんとした理由があるんだろうなって。


「隣に住んでる男の人が、ちょっと危ないかなって…」

「は?」
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