あのね、先生。-番外編-
「危ないって何すか」
吉野先生の家には何度か行ったけど、思い出す限り隣に住んでる男の姿を見た覚えはない。
聞くとどうやら、いつも夜中に帰ってくるらしい。
だからか。会ったことねーの。
「前から何度か付き合ってくれって言われてたんですけど、彼氏が出来たって知ってから嫌がらせされるようになって…」
「…何すかそれ」
嫌がらせ?
つーか、前から何度かって、それ危ないやつなんじゃねーの?
…だから引っ越すってことか。
まあそれなら俺だって引っ越してくれた方が安心だし、何ならもっと早く引っ越せよ。なんて思ったりして。
「写真がポストの中に入るようになって、それに中村先生も写ってたからもう限界かなって思って」
「俺?」
「一緒に歩いてるとことか」
「ストーカーじゃんそれ」
「やっぱりそうなんですかね」
そういえばこの人美人なんだった。
ずっと近くにいるから忘れてたけど、人並み以上にモテるし人目を惹きつける人間だってことを忘れちゃいけないのか。
「…それで、いつ引っ越すんすか」
「まだどこに住むかも決めてないです」