あのね、先生。-番外編-
一緒に作った夕食は、夕食にしては遅い時間だったけどそんなことは全然気にならなかった。
「本命って言って渡してくる子いなかったの?あれだけ貰ったのに」
「んー、みんな彼女いるって知ってるし、そんな風に言ってる子はいなかったよ」
それは相手がいるから言えなかっただけで、きっと本命の子もいるよね。
教師という立場だからあまり広まっていいことじゃないのかもしれないけど、彼女がいることが女子生徒の中で共通認識になっていてよかった。
もし女子生徒が何も知らなかったら、きっと本命だって言ってチョコを渡す子もいたんじゃないかな。
「茉央ちゃん、俺もうすぐ30歳だよ?」
ふにゃんと笑った蓮くんが、あたしを安心させるようにそう言った。
だけど蓮くんは分かってない。
「高校生が相手にするような歳じゃないから。心配しなくても大丈夫」