あのね、先生。-番外編-
誕生日には -梨花×シロ-


″今年の誕生日はちゃんと祝うから!″

″去年は間に合わなくてごめんな。″

そう言ったのは彼だった。

忙しい彼のことだから、去年はきっと間に合わないだろうなって思って料理もしなかったし、先に寝てしまってた。

だけど珍しくあんなに必死に言ってきたから、もしかして去年のことを申し訳なく思ってるのかなって。

そんなの気にしないのに、律儀に謝ってくれたことをよく覚えてる。


次の日に一緒にケーキを食べたことも。

別にいいよって言ったのに、わざわざプレート付きのものだったっけ。

ロウソクもちゃんと貰ってきてて、誕生日当日じゃなかったけど、ちゃんと嬉しかったから。


今年はちゃんと当日に、って。

忙しい彼なりに、今日のために仕事を詰めてやってくれてるらしい。

だから嬉しかったんだ。

ああ、今年は誕生日当日に一緒にいられるんだなって。

それなのに、まだ彼は帰ってこない。


今日はもう間に合わないかな、なんて思って料理とケーキを冷蔵庫に入れた。

張り切っちゃったな、今年は祝うって言ってても、ほんとに今日中に帰ってこられるか分からなかったのに。
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