あのね、先生。-番外編-
何てことない日常が -吉野×中村-


「…何してんの」

「あっ、中村先生」

「それやめろって言ったじゃん」

呆れた顔でそう指摘してきた中村先生…じゃなくて、剛くん。

そうだった、中村先生って呼ぶのやめろって言われたんだった。

「剛くん」

「剛くんってやめろよ、どこの学生だよ。恥ずかしいわこの歳で」


そんな剛くん……じゃなくて、剛はあたしのことを智美と呼ぶようになった。

付き合って2年半。

なかなかスローペースなカップルです。

ほんとにいろんなことのペースが学生のようで、この歳になって胸が締め付けられるような思いをするなんて思ってもみなかったよ。


「で、それ何?」

「ホットケーキですよ」

「おやつ?」

「はい、甘いもの食べたくなって」

最近疲れてたのか、お昼過ぎて起きてきた剛はさっきお昼ご飯を食べたばかりで。

きっとホットケーキなんて今はいらないだろうなって思って。でも一応2枚焼いてお皿に分けた。
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