あのね、先生。-番外編-

「これ、俺の?」

キッチンに立つあたしの隣に立つ彼は、寝癖がすごいし眠いからなのか距離感がバカになってる。

ピタリとくっつくその姿は、何だか猫みたいで少しキュン。

「うん、いらなかったら冷蔵庫に入れとくけど、食べます?」

「食べる」


あ、食べるんだ。

さすが体育教師だなぁ。

付き合いたての頃から思ってたけど、この人ちゃんと引き締まってるくせにものすごくよく食べる。

あたしが作ったものを何でも食べてくれるからありがたいんだけどね。


「今日は出掛けないんですか?」

「ん、何もねぇし」

「久しぶりですね」

学校がなくても、学生時代の友達に呼び出されたりってことがたまにあるから、やっぱりこの人は忙しい。

2人でこうしてのんびりおやつ食べてるなんて、いつぶりだろう。


冬なのに日差しは春みたいな日だった。

窓の外はほんとに春みたい。

窓を開けたら一気に冬を実感するんだろうけど。そうじゃなければこの陽気はポカポカしていて気持ちがいい。
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